物に働く力のイメージ 〜力の性質〜

要約

ここでは力がどんな性質を持っているかを発見します。 物を動かす時に力を使いますが、力を物にかけたとしても、いつも動かせるわけではありません。 この現象をヒントに、力について重要な性質を発見します。

目次

1 「力」の発見!

1.1 これから「力」について勉強するよ!

力学の中では読んで字のごとく、「力」が非常に重要な意味を持っています。 なのでまずは「力」について勉強します。 ここをしっかりしておかないと、後々苦労することになるので、気をつけましょう。

世の中には力というものがありますね。 ここで言っている力とは、普通に日常会話で使う力です。 例えば物を持つのには力を使います。

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物を押したり支えたりするのにも力を使います。 物の形を変えたり、壊したりするのにも力を使いますね。

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当たり前のことのようですが、一応確認しておきました。 でも、「力」って目に見えないし、なんだかあるんだか無いんだか、よく分からないですね。 そこで、実際に「力」がこの世に存在しているんだということを、感覚で理解しましょう!

では、いただきますの時にするみたいに、両手を体の前で合わせてみてください。

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そのまま左右から腕に力をかけて、ぐーっと手のひら同士押し付けてみてください。

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手のひらに何か感じますね。 何か、押し付けるような感じを感じると思います。 そりゃ、自分で腕で力をかけて、手のひらを押し付けているのだから当然です。 ということは、今、感じている何かが、「力」だということですね! つまり、この「押し付ける感じ」が力なのです! 当たり前だけど、改めて意識してみると新鮮ですね!

もうちょっと分かりやすくするために、今度は手のひらを指先で押してみます。 さっきは左右から同じように力をかけていたので、どっちの手がどっちの手に力をかけているのか、分かりにくかったかもしれません。 だから今度は、片方の手のひらを、別の手の指で押してみます。

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やっぱり手のひらに何か、押し付ける感じを感じると思います。 これが、「力」です。 今度は指が手のひらを押しているのがよく分かると思います。 この感じを覚えておいてください。 これから、身の回りにある力を、実際に手に感じて発見していきます。 楽しみですね!

ここでは、「力」が確かにこの世界に存在することを確かめました。 力があれば重い物も運べるし、いろんなことができます。 力って大切ですね! この、「力」という概念が力学の基礎になってきます。 自分でも、物を持ったり動かしたりしてみて、その時に力を使っているんだということを意識してみてください。

1.2 「力」には特別な性質があるよ!

そんなありふれた概念である力ですが、あらためてよく観察してみると面白い性質があるのです。 力を物にかけたら、その物を動かしたり形を変えたりできます。 あたり前です。 でも、そんな当たり前の現象でも注意深く観察することで、とても面白い性質があることを発見できます。 これからはあなたも、何でもいいので物を用意して、実際に自分で物に力をかけてみて同じような体験をしながら読み進めていってください。 すごく面白い発見がありますよ!

さて、私はこれからの観察に使うために本を用意しました。 これを机の上に置いてみます。

これに横から力をかけてみます。

始めはちょっと手応えがあって、少し力をかけたぐらいでは本は動きません。 だけど、ある程度力をかけると、本は動き出します。

当たり前です! 誰もが日常的に、色々な物を動かして生活しています。 だけど、この当たり前のことをしっかりと頭に焼き付けましょう。

物に力をかけると、その物は動き出す。

では次は、両手を使って左右から本に力をかけてみます。 ぐ〜っと、本の両側から力をかけます。 すると、どうでしょう! 力をかけているのに、本は動きません!

どういうことでしょうか。 物に力をかけたら動き出すのではなかったのでしょうか? 本に力がかかっていないわけではありません。 だって自分で力をかけているのですから。 あんまり長い時間、力をかけていると、だんだん疲れてきます。 本当に力をかけているという、何よりの証拠です!

ん〜?ちょっと待てよ。 今、無意識のうちに両側から同じような強さで力をかけませんでしたか? 同じ強さで左右から押し合っていたら、物が動かないのも当然です。 今度は意識して、片方の力をちょっと弱めにかけてみましょう。 そしたら本は弱い方の力をかけている方に動き出しますね。

いやーよかった。 力をかければ、物は動くのです。 さっきの観察は間違ってはいませんでした。 だけど、無条件というわけではないようです。 少し言い方を変える必要がありそうです。

物にちゃんと力をかければ、その物は動き出す。

ちゃんと? ちゃんとってどういうことでしょう。 そりゃ、左右から同じような力をかけるとか、明らかに物を動かそうとしてない力のかけ方をしないって事です。 けど、「物を動かそうとしていない」ってどういう事だろう? もっと深く考えてみましょう!

とりあえず色々な場合をもっと試してみましょう。 机の上の本に、上下左右、いろんな方向から、いろんな力をかけてみましょう。 左右から力をかけると動かない、両手とも右から左に押したら動く、上下から力をかけても動かない、右と下から力をかけると斜めに動く・・・。 何か、ある時は動いて、ある時は動かない、法則のような物が見つかりませんか? それが、力の持つ特別な性質です! 次はその、特別な性質をもっと深く探っていきます!

1.3 「力」の性質を発見しよう!

さて、いよいよ力の持つ深い性質を発見する時です。 あなたも一緒にやってみて、実際に発見を体験しましょう。 きっとすごい体験になりますよ!

まずはおさらいです。 物に力をかければ、その物は動く。 だけど、力のかけかたによっては動いたり動かなかったりする。 この、動く時と動かない時の違いをはっきりさせたいのでしたね。

そのために手で本に力をかけていたのを、指先でかけるようにしましょう。 本のどこに力がかかっているかをはっきりさせるためです。

例えば、こんな風に本の右下と左上に力をかけてみます。

そしたら、同じぐらいの力をかけているのにもかかわらず、本は動き出します!

どんな力の入れ具合でも、本は動き出します! 左右から力をかけているのに、動き出します! 今までと一体何が違うのでしょうか? ちょっと、色々な場所に指先で力をかけてみて、違いを探ってみましょう。

右上と左下、右上と左上、右の真ん中と左下、右の真ん中と左の真ん中・・・。 右の真ん中と、左の真ん中に同じ力をかけた時には、本は動きません。

じゃあ、右下と左下に同じ力をかけたら? やっぱり本は動きませんね!

右上と左上に同じ力をかけても、本は動きません。

左右のどこであれ、同じ場所を同じ力で押した時は、本は動きません。 どうやら、右と左から向かい合うように同じ力をかけた時は、本は動かないということのようです!

もっと色々な場合をやってみましょう! 上下、左右、どんな場合でも、向かい合うように同じ力をかけたら、本は動きません! 斜めに力をかけても、力が向い合っていれば本は動きません!

これはすごい発見です! 物に力をかけた時に、どういう時に動いて、どういう時に動かないのか、そのはっきりした条件が分かったのです! これは力に関する法則です! せっかくなので、はっきり書いておきましょう。

物に力をかけると、その力と向かい合うように同じ力がかかっていない場合、その物は動き出す。

1.3 「力」の性質のまとめ!

さて、今まで発見したことをまとめておきます。 世の中には「力」というものがある。 物に力をかけると、その物は動き出す。 ただし、その力と向かい合うように同じくらいの力がかかっている場合は動かない。 日常的に、何気なく使っている力という概念には、こんな性質があるのですね!

これから、この力の性質を元にして、様々な物理的な議論を発展させていきます。 そのためにもうちょっと、発見した力の性質について、理解を深めておく必要があります。

今は、自分で1つの物に力をかけました。 だから、両手にどれくらいの力が入っているかは、明らかでした。 自分で腕に力をこめているのだから、当然です。 ですがこれからは、物と物の間にかかっている力について観察していくので、自分の手で物に力をかけることがなくなってきます。 その場合に、どんな力が物にかかっているかを知るための手段が必要になってくるのです。

1つの物の2箇所に力をかけたとして、それらの力がもし向かい合わせで同じ強さの力だったら、その物は動かないのでした。 今までは力というのは、自分の手でかける力でした。 ですが、片方が自分のかけた力で、もう片方が他人のかけた力であったとしても、もし向かい合わせで同じ強さの力がかかっていたら、その物は動かないでしょう。 誰が力をかけているかに関わらず、同じ事が起こるはずです。

なら、逆に考えて、もし自分が物に力をかけているのに、その物が動き出さないなら、きっと自分の力と向かい合わせで同じ強さの力がかかっていると言えるのではないでしょうか! もしそうなら、これを頼りに物と物の間にどのような力がかかっているかが分かります。 ある物に力がかかっていたら、その物に自分で力をかけてみて、動き出さないように支えてみれば、元々かかっていた力は今、自分がかけている力と向かい合わせで同じ強さの力だということです。

これから、この力の性質を使って様々な、物と物の間に働く力について体験を通して発見していきましょう! ちなみに、物理では力を物にかけることを、物に力が働く、などと言います。 また、物に2つの力が働いているのに物が動き出さない時は、その2つの力が釣り合っている、などと言います。 これから使っていくので、覚えてくださいね!

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